ボバルというブドウをご存じですか?スペインの地中海沿岸地方の少し内陸にあるDOウティエル・レケーナを代表する黒ブドウ品種です。ティント・デ・レケーナやレケニという別名からも分かるように、DOウティエル・レケーナの地域が原産と考えられています。
年間降水量420mmほどで標高600~900mというこの地域の条件に適した品種で、干ばつに強く、収量が多いだけでなく、実の皮が厚いため色の濃いワインができるため、よその地域のワインの色付け用として大量に出荷されていました。そのため1970年代、ボバルの栽培面積は現在の2倍以上もあったとのことです。けれどもブレンド用の量産ブドウとしか考えられていなかったため、ボトリングされて売られるワイン用として栽培される品種に比べると、ボバルの価格はあまりに低く、徐々に栽培面積は減っていきました。
2022年の統計によると、ボバルの栽培面積は20,500Haで、総ブドウ栽培面積の64.5%を占めています。ここで注目したいのは、そのうち8,950Ha、約44%が樹齢45年以上の古木だということです。
量産に疑問を持ったワイン生産者のなかから、他にはない地場品種ボバルでボトリングして売れる品質の高いワインを造ろうという動きが生まれてきました。樹を選び、完熟を待って収穫することによって、ボバル単一でしっかりした色はもとより、フルーツ味、酸度、アルコール度もバランスの取れたワインができることが徐々に証明されていきました。今ではボバルの古木が良いワインを生むという考え方が定着し、DOウティエル・レケーナでは恵まれた条件が保たれています。
ボバルで造る赤ワインは濃い色、よく熟したベリーのような香り、しっかりした骨格、フルボディでボリューム感があり、複雑味があります。若いワインも色はしっかりしていますが、フルーティでバランスがよく、飲みやすいタイプです。
ロゼは赤いベリーのような香りが特徴です。フレッシュでバランスがよく、快い飲み口です。ガルナチャやメルローといったその他の認定黒ブドウ品種とのブレンドタイプもお勧めです。
ボバルはポリフェノールの中でも抗酸化作用に優れたレスベラトロールを多く含んでいることで注目されています。
DOウティエル・レケーナで生産されるワインは基本的に赤です。
認定品種はボバル、テンプラニーリョ、ガルナチャ・ティンタ、ガルナチャ・ティントレラ、カベルネ・ソーヴィニョン、メルロー、シラー、ピノ・ノワール、プティ・ヴェルド、カベルネ・フラン、グラシアノ、モナストレルです。白品種はタルダナ(別名プランタ・ノバ)、マカベオ、メルセゲラ、シャルドネ、ソーヴィニョン・ブラン、パレリャダ、ベルデホ、モスカテル・デ・グラノ・メヌド、ヴィオニエ、チャレロ、ゴデーリョ、ガルナチャ・ブランカ、アルバリーニョ、トルトシです。